
助っ人登場!?
前回は松平定信が実施した「学問吟味」を解き始めました
【編集部チャレンジ】「べらぼう」蔦重の敵?松平定信の「学問吟味」に第一学習社編集者が挑戦!~前編~ - 第一コラムラボ
とりあえず読み進めたものの、解きっぱなしじゃ企画にならない…
企画倒れのピンチを救うべく降臨してくれたのが!
どうも、うさぎです。専門は漢文です
最後に、うさぎさんに採点をしてもらいます!
ざっくり採点ですが、がんばります
よろしくお願いします
「学問吟味」の答案づくりに突入!

字訓:言葉の意味の説明
延長戦です。字訓で答えるのは「仲弓」「季氏」「有司」ですかね。あとは…
「舎諸」?
それは本当に意味がわからないんでやめましょう
国語便覧を参考にして、「仲弓」「季氏」はわかったよね

「有司」はなんだったっけ?
日本史の資料集で見た民撰議院設立建白書をふまえると、「政治を行う役人。官吏」くらいでしょうか

あらためて第一学習社の教材はすごい、これは欲しい!
露骨なステマはやめましょう
「舎諸」は、とりあえず書いといて
字訓はこんなもんでしょう

解義:文章の内容の説明
解義は口語訳を行っていけばよさそう

ここは簡単
「仲弓は季氏の宰相になり、政治について孔子に問うた」ってことですね

二文目の「有司」は役人、「小過」は小さな過ち
最後らへんにある謎の字は、仮に「奉」としてましたが…

「賢才を奉れ」で「優れた才能を献上せよ」ってことかな
「學」と考えると、「賢才に學べ」で「優れた才能から学べ」って線もあるかも
うーん、わからん(うさぎさんをチラリと見る)
(菩薩のような微笑み)
こんな穏やかな表情見たことない…
なんの情報も引き出せなさそう…
「奉」で考えて、ゆるく「重用せよ」くらいに解釈してお茶を濁そう!

三文目の「曰」は「仲弓が言うには」で、次は…来たな、「焉」
文法書だと、疑問の場合「どうして~するのか」と訳してるね

それに従いましょうか
となると、「どうして優れた才能を知り、これを重用するのか」だ

最後は孔子の返答ですね、「爾の知る所を奉り、爾の知らざる所は人其れ…」
「舎諸」!なんなんだ!
やっぱり、この最後のがわからないと厳しいですねぇ
「諸」は「全部」みたいな意味だとして、「舎」の意味は想像するしかないね
全体としては対句っぽくて、「知っている人は重用し、知らない人は重用しない」というようなことだと思うんです
わかる。シャショ、シャショ…
「捨象」とか?
音だけじゃん。「舎」と漢字も違うし
でも、「捨てる」みたいなニュアンスは近そうですよね
お前の知らない人は捨ておけ、お前の知らない人は無視しろ…
強いですね
お前の知らない人は諦めなさい
うーん、それくらいですかね
適当な孔子になっちゃったけど、解義はこれくらいかな

章意:文章全体のまとめ
この章は仲弓が政治を行ううえでの心構えを尋ねた章段だ、みたいな書き出しですかね
初めのほうは、政治を行うにあたっては細かいことを気にするのではなく優秀な人材が大事だよ、といったことを言ってますね
前半に孔子が言ってること、当たり前すぎない?
でも、さらに仲弓に質問された後はおもしろいですよね
優れた才能は簡単には見つからないから、まずは知っている優れた人物から重用しよう、だったね
そうです。切り口が現実的というか
ともあれ、章意も完成!

やった、終わった!時間は…70分もかかった…
共通テストくらいかかりましたね。でも、だいぶいい感じにまとまってますよ
これは採点も期待できるよ
いざ、採点の時間!
訓読文をチェック
私の出番ですね
まずは訓読文からお願いします
一文目はOKです!
やったー!
これは嬉しいですね
続いて二文目は残念…漢文は英語と同じSVOの形なので、「先有司 / 赦小過」で分けて考えるんです
そこで区切るの?
「先」が動詞ってことですか?
「先にし」と読みます
サキニシ・・・!?
「下の者に先にやらせてみて、多少のミスがあっても許しなさい」といった文意になります
で、問題のコレなんですが…

この謎の字は結局なんだったんだ?
うさぎさんが絶対に教えてくれなかったやつですね

これは、「挙」の旧字「擧(舉)」なのでした!
「挙げ用いよ」という意味です
アゲモチイヨ・・・!?
「登用せよ」ということです
あれ!?
奇跡的にニアピンしてませんか!?
「重用する」って考えてたからね
わからなくとも、文脈から推測するのは大事なんですね

※訓読文は書き込み過ぎて解読不能になったため、再現画像でご覧ください
続いて三文目は、さっきの「擧」を除くと、まずまずOKですね
よしよしよし…!
四文目なんですが、「爾知所」の後に句点を打って、二文にわけたほうがいいですね
それで、お二人が一番悩んでいたところなんですが…
「舎諸」だ!
「人其」も含めて、最後の四文字が本当に手ごわくて…
まず、「人」はここでは「他人」の意味ですね。「其」はあまりメジャーではないですが、「其れ」と読んで、反語を表します
うわあ、知らねえ…
「舎」は「捨てる」を意味するので、正解ですね。「諸」は「これ」と読みます
おおっ、「捨てる」の意味は正解でしたね
「あなたの知らない優秀な人材は、ほかの人がどうして捨てておこうか、いや捨てておかない」のような文意になりますね
当たらずとも遠からず…といったところかな

字訓・解義・章意をチェック
では、肝心の字訓・解義・章意も見てもらいましょうか
まず、字訓ですが、これはOKですね。「舎諸」はいらないですが
よい滑り出しだ
解義は、少し訂正を…
まず、「宰」は季氏の家を取り仕切る人間として「家老」くらいがいいですね
なるほど、宰相だと国政の最高責任者という意味合いになりますもんね
「焉んぞ」は「どうして」でも正解なのですが、より文脈に沿うなら、「どうやって」でもよかったですね
訓読文で指摘したこともふまえると、こんな感じかな

最後の投げやり気味な孔子が、ぐっと引き締まりましたね
悔しいな、もうちょっといけた気がする
最後に、章意もお願いします
これは、もう少し文意に即した内容のほうがよかったです
うっ
抽象的にごまかしたのがバレましたね
ばっさりいきますよ
あぁ、我々の答案が…

どん! まとめの一文も、最後に入れてみました
上に立つ者は、何でも自分一人でやろうとしてはいけない!
これはカッコイイ!
採点終了!
で、どうでしょうか。我々は合格ですか?
わりとイイ線いってませんでした!?
いや、わかりません。今回はあくまで漢文読解的な観点から、採点しただけなので…
ぐぬぬ、出世のチャンスだと思ったのに
弊社にはそんな制度ないのでどのみち無理ですが、「べらぼう」でも出てきた大田南畝の答案も残っているみたいです。実は彼も合格者です

どれどれ…字訓は悪くなさそう!
解義は単なる口語訳だけじゃ物足りなかったですね。章意は惜しい気がします!
私が最後に書いたまとめよりも、もうワンランク上のことを書いていますね。さすが…
ん? というか、これがあったら、私いらなかったのでは…
いやいや! 企画が成立したのは、ひとえにうさぎ様のおかげです!
うさぎ様、ありがとうございました!
おわりに
やれやれ、疲れましたな…
一問しか取り組んでいないのに、とんでもないボリュームになりましたね
昔の人すごすぎる…
この学問吟味は、寛政4年(1792)にスタートしてから、なんと幕末まで続きました
えっ、そんなに長く!?
人材発掘の機会でもあり、朱子学の奨励にもつながるものでした。松平定信の残した功績のひとつと言えるでしょうね
単なる悪役ではなかったんだね
それがわかってもらえれば、歴史担当としては満足です!
「一人の聡明さに頼らずに、広く人々の見識を借りなさい」。あらためてみると、課題文は上に立つ者の心得を説くものだったんだね
幕臣に向けての試験として、なにか意図があったのかもしれません
現代のビジネスシーンでも共感できる人はいそうだねぇ
「べらぼう」の放送も佳境ですが、これをきっかけに江戸という時代について、さらに深堀りしてみてはどうでしょうか?
【追記】
挑戦後の「べらぼう」で、「学問吟味」に向けて猛勉強する大田南畝(桐谷健太)が登場しました!
【大河べらぼう】べらぼうナビ🔎第44回 - 大河ドラマ「べらぼう」見どころ - 大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」 - NHK
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