
はじめに
このたびは第一学習社の『最新地理図表GEO』に興味を持ってくださりありがとうございます!編集部のIです。
瀧波一誠です。一般社団法人 日本地域地理研究所で代表理事を務め、戦略地理アドバイザーとしてメディアや一般企業にアドバイスをしたり、書籍や記事の執筆、SNSでの発信、私立高校でも講師をしています。
地理の視点から世界を見る解像度を上げるため、様々な形でお手伝いをしています。今日はよろしくお願いします。
よろしくお願いします!

本日はGEOについて、瀧波先生がぜひとも第一学習社の編集者と語りたいということで、この座談会を開きました。
実際にお話しするのを楽しみにしていました!
今日はよろしくお願いします!
『GEO』の商品詳細は以下よりご確認ください。
きっかけ
「資料集って、どう使えばいいんですか?」という質問
資料集の有効な使い方がわからない…生徒さんのみならず、先生からもでしょうか?
はい、学校現場で地理を教えてきて、この質問を何度も聞いてきました。
これまでは生徒からこの質問を受けることが多かったのですが、地理総合が必修科目となって以降は、教員からも多く寄せられるようになりました。
歴史・公民専門の先生が地理総合の授業を担当する状況はあるあるですね。
特に若手の先生にとっては、専門外の授業を受け持つことは不安でいっぱいだと思います。
瀧波先生:そのとおりです。専門外で地理を担当することになった先生方が、少し困ったようにこう尋ねてくるのです。「とりあえず資料集を配ったんですが、どう使えばいいんでしょう?」と。
編集I:せっかく購入した資料集。活用しないのはもったいないです…。
瀧波先生:専門外の先生にたくさん活用してもらうためにも、まずはGEOのよさや資料集を活用することのメリットを知っていただく必要がありますね。
瀧波先生:そもそも地理総合では、これまでの地理A・Bのときと比較すると、資料を読み取り、それをもとに思考する能力の育成がより一層重視されるようになりました。そのような中で、資料集は教科書の脇で参照する本ではなく、考える入口をどう作るかが問われる教材となったと考えています。
瀧波先生:そして、実はGEOは当初からそのような学習も想定して設計され、アップデートされてきた書籍であると私は感じています。
編集I:ありがたい限りです…。今日は先生の目から見て、具体的にGEOのどのような点が、現在の学習環境に合致していると感じるか聞けたら嬉しいです!
ビジュアルで理解させる、という思想
本題に入る前に、GEOを編集するうえで編集部が最も大事にされていることを教えてください。
やはり「ビジュアル」のひとことに尽きるかと思います。
編集I:GEOは私が入社する前からある書籍で、実際に私も高校生時代にGEOを使って勉強し、大学入試を乗りこえてきました。発刊当時からビジュアルをメインに見せていくという理念で作られています。
瀧波先生:GEOユーザーだったんですね!
編集I:書名をもう一度見ていただきたいのですが、「資料集」ではなく「図表」としています。これはこだわりポイントです。
瀧波先生:本当ですね!まずは書名から、ですね!
※このコラムでは「資料集」の呼称で記載します。
編集I:代々GEOに受け継がれてきた「ビジュアル」のコンセプトを、私たちは引き継いでいかなければならないと考えています。

学生時代にこれらを使った方も多いのでは?
瀧波先生:たしかに、書店で売られている参考書を含め、一般には整理整頓した表やわかりやすい解説文で学習者に知識を与える書籍が多いと感じます。ですがGEOは、あえて図と写真を前面に出しています。
瀧波先生:ではなぜ、「ビジュアルが先」なのですか?
編集I:地理では世界のさまざまなすがたを学習しますが、それをテキストだけ理解することは難しいと思います。
瀧波先生:高校生の段階で世界のあちこちを旅して、リアルを目にしている人はほぼいないでしょうね。
編集I:はい、実際に行ったことのない土地の内容を学ぶからこそ、写真や図といったビジュアルが大切になってきます。文章だけでは作れない、立体的なイメージ作りを助ける。それがGEOにとっての「ビジュアル」です。
編集I:共通テストなどの試験問題を解くときに、生徒さんの頭の中にGEOの図や写真が自然と浮かんできてくれたらうれしいなと思います。
瀧波先生:なるほど、写真や図を載せることで、遠い世界の事象を「見たことがあるもの」としてイメージを作り出すのですね。編集者のみなさんに受け継がれてきたDNAだと感じます。
余白は欠落ではなく、選別の結果
瀧波先生からみたGEOの特徴にはどのような点がありますか?
「ビジュアルで見せる」とは、「全部教える」ことではありません。GEOのもう一つの特徴は、あえて「余白」を残すことにあると感じます。
「余白」…ですか。
瀧波先生:そして、この余白は情報を「省いた結果」ではなく、「選んだ結果」生まれたという点も特徴的です。
編集I:なるほど。確かに私たちも、GEOに載せる情報は、時に緩急を付けることも大切だと考えています。
瀧波先生:資料集は「教科書に載せきれなかった詳細情報をまとめたもの」という教材の性格上、できるだけ詳しい説明を多く載せようとする傾向があると思います。しかしGEOは、あえて情報を絞っている部分があり、それが読者に想像力を働かせ、「読んでいて飽きない」仕掛けになっていると感じます。
瀧波先生:一方でそれが誤った認識に到達しないよう、ガイドとなる情報はきちんと配置している印象です。
編集I:ありがとうございます...!!限られた紙面にどの情報を掲載するかについてはいつも悩みながら編集をしています。

瀧波先生:GEOは全ての情報を詳細に盛り込んだ資料集ではありません。ただしそれは、読者を放置するものでも、知識があることを前提にした設計でもありません。
瀧波先生:生徒の想像力が働く余地を最大限確保しつつ、正確な地理の知識や認識を獲得するためには、何を残し、何を外すべきか、一点一点練り上げられていると感じます。GEOは自由に見えますが、放任ではないのです。
編集I:「放任ではない」、私たちにはない視点ですね。
瀧波先生:余白があることで、教師は授業をアレンジしやすくなります。生徒は自分で考える余地を持つことができます。余白は、ユーザーに自由を与える設計なのです。
編集I:確かに資料集の活用の仕方は、先生によって千差万別です。余白という見方に改めて気づかされました。
武器にも、難しさにもなる余白

瀧波先生:ただし、この設計は万能ではありません。余白を無条件に良いと感じられるのは、それを生かして授業設計ができるベテランや専門性の高い先生が多いのです。
瀧波先生:一方で地理を指導した経験が浅かったり、専門外の先生にとっては、その余白をどう授業の中でアレンジするかがイメージできず、資料集活用の難しさになることもあります。
編集I:そのとおりだと思います。紙面の中に隠されたストーリーに気づいてもらうことが必要なのですね。
ページごとに、設計は違う
今回は紙面を深掘りする前に、まずはGEOのコンセプトを確認しました。
編集部とお話しする中で、GEOは「調べる本か考える本か」という二択ではなく、「ビジュアルで考えさせるために作られた本」だということを改めて感じました
瀧波先生:「考えるきっかけ」や「理解する導線」を仕込むために、あえて情報を絞り、どこに余白をつくるか、ページごとに意図を持って選ばれている本でもあります。
瀧波先生:そして、GEOはどのページも同じ作り方をしているわけではありません。ページごとに思考の入り口が異なるため、見せることで理解させるページや、あえて説明を先に示すページなど、それぞれ異なる設計をしているのです。
編集I:ありがとうございます。その分、編集する中ではたくさんの悩みもあります。泣く泣く削った解説文や資料もたくさんありました。
瀧波先生:次回は、その設計の違いが実際の授業にどのような作用をもたらすかについて語りたいと思います。
(第2回へ続く)
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