
2025年春を起点に、大規模な学参・国語便覧ブームがありました。本記事はその火元となった座談会シリーズの後日談です。
前日譚をお読みいただいてからだと、本記事をより楽しむことができます。
【編集は語る】第一学習社 国語課のディープな座談会『国語便覧』〜前編〜 - 第一コラムラボ
【編集は語る】第一学習社 国語課のディープな座談会『国語便覧』〜中編〜 - 第一コラムラボ
【編集は語る】第一学習社 国語課のディープな座談会『国語便覧』〜後編〜 - 第一コラムラボ
加熱する便覧ブームの最中、3年ぶりに、現代文・古文・漢文がそれぞれ専門の国語の若手編集3名が再び集まり、今回のブームに思うことなどについて、この3年間を振り返りつつ座談会をしました。
このメンツで集まるのは久しぶりです。今日はよろしくお願い致します。
ジャガーです。専門は現代文。よろしくお願い致します。
さるです。専門は古文。よろしくお願い致します。
うさぎです。専門は漢文。よろしくお願い致します。
早速ですが、めちゃくちゃバズりましたね。どう思いますか?
国語便覧ブームに思う
うさぎ人気
うさぎさん人気に嫉妬しています。
ヤハッッッッ!!
確かに。サイボーグ項羽様へのツッコミに光るものがあった。

この部分をスクショしてくれた人がたくさんいました。
FGO未プレイだったんだよね。あれからプレイした?
実はインストールしました。
お~!プレイされた感想どうですか?
今オルレアンです。
序盤も序盤じゃねーか。
中華ネタが出てくればもう少しハマれるのですが…。
永世秦帝国は第2部第3章だからだいぶ後になるね。
うーん、第1部は国語便覧というより世界史資料集なんですよね。
歴史上における欧米・中東が舞台ですからね。
社会の編集者にオタクいらっしゃいました?ここに呼べる?
おいおい考えましょう。
あ、楊貴妃の長恨歌は便覧にもありますね。
長恨歌!漢文の定番教材です。
ユウユウの初出いつでしたっけ。
いつぞやの正月ピックアップで現れて、年始早々に財布にダメージ与えてきた記憶がある。
黒星紅白さんキャラデいいですよね~。
ストーリーに絡むのは2部以降ですね。2部4.5章。
サイボーグ項羽より後…時間かかりそう…。
だいぶ先だよなあ。
ソシャゲしない人にソシャゲさせるにはどうしたらいいんだ。
息の吸い方を教えるって難しい。
そんなに?
うさぎさんをオタク沼に落とす方法は引き続き検討課題としましょう。
大河ドラマと国語便覧
大河ドラマ好きな人たちもバズりへの反応が良かったように思います。
ちょうど『光る君へ』が終わった後で、平安コンテンツへの熱がまだ残ってた影響だね。
※2024年12月に放送終了。
平安コンテンツは便覧でも扱いが大きいです。

ここらへんは図版や図解も豊富です。
文スト・文アル界隈の評判から国語便覧を手に入れた人が、『光る君へ』のファンでもあり、「持っててよかった!」的な声もありました。
意外と、ここらへんはファン層が被ってるのかも?
国語便覧ってオタクにとって教養の泉ですね。てぇてぇ
大河だと日本史の資料集でも深読みできるけど、あえて国語便覧を選ぶ利点を挙げるとするとどうですか。
『光る君へ』は紫式部&『源氏物語』が主題となっているので、強みがある点ですね。
日本史資料集より「紫式部」「清少納言」の年譜とか、あとは一条天皇まわりの女性たちの解説とかが、詳しい。

なるほど。
文学作品とか作者に関わる部分がしっかり充実してるから、『光る君へ』の簡易解説書として活用しやすかったですね。
『源氏物語』は研究ジャンルとして専門書がたくさんあるので、基礎は便覧で押さえてステップアップできる!
モチーフにした創作もたくさんあるしね。『源氏物語千年紀 Genji』とか。
またマイナーなものを…。
かの出崎統監督の遺作だぞ。桐壺帝が堀内賢雄さんでダンディボイスなんだぞ。
『光る君へ』に関しては、「皇室略系図」「藤原氏略系図」もおすすめです。

あとは『源氏物語』にスポットライトが当たりがちですが、実際の登場人物たちの世界は歴史物語である『大鏡』の世界と通ずるところが大きいです。
なので、同ページにある「主要人物紹介」などは楽しんでもらえると思います。
もちろん日本史の資料集で歴史そのものの流れを押さえておくと、もっと深くドラマを味わえますね!
今の大河、『べらぼう』だとどうですか?
すでに朋誠堂喜三二、恋川春町、大田南畝が出てきましたね。今からさらに当時をときめく作家たちが出てきそう。そこらへんも文章で解説しています。
「木版印刷の過程」が当時の本を製作している様子がわかって個人的にはおもしろいです。
第3回で『一目千本』を吉原の女郎に手伝ってもらいながら作っている場面を思い出すね。
そうそう!文フリ※参加勢としては、コピー本を作っているかのようでなんとなく親近感を覚えます。
※文学フリマ:出店者が自ら作った作品を自ら手売りするフリーマーケット形式のイベント

弊社『日本史図表』には耕書堂の写真も載ってますね!
こう見ると、今風に宣伝ポップみたいなものも貼り出していたんですね~。
やっぱり、便覧や図表はビジュアルな面で当時の様子が知れるのがいいよね。
学び直しについて
そうそう、教養といえば。
記事のバズり自体はソーシャルゲーム界隈からなのは間違いないんだけど、反応が広まっていくにつれてリーチする層が変わってきたのはおもしろかった。

どんな感じに変わったのですか?
「学び直し」とかそういう感じの、平たくいうと非オタクの一般層。
特定オタクコンテンツを深く知りたい下心抜きに、純粋に教養を求めて、国文学や古典を学ぼうと思って、便覧を!ということですか!
それってすごいことですよね。
そう、オタクコンテンツを経由しないで、ダイレクトに国語便覧の購買に向かってるようなアクセス解析があった。
オタクがつけた火種が人々の国語力を引き上げる結果に(誇張)
オタクが世界を救ってしまったな。
刀剣乱舞との関連?
刀剣乱舞との関連ってどんなのがある?って反応もあった。
文アルや文スト※はダイレクトに文豪がモチーフなので、国語便覧が深読みに使えるのは分かりますね。
※文豪とアルケミスト、文豪ストレイドッグス
そこらへんどうなんですか審神者。
着物、武具、太刀の部位名称、当時の文化といったページが二次創作に活用できる、という声を多くいただいていますね。
十二支の方位は、ゲームに出てくるサイコロにも使われているし、理解を深めたり深掘りしたりと使えるなぁという印象。
私はアニメの『活劇』は履修したのだけれど、キャラ造形の理解に、便覧の知識は役に立ったと思ってる。
戦闘シーン作画いいですね!初めて見ました!
『鬼滅の刃』のufotableさんだよ。座談会の準備として見てないの?
そんなことを俺たちに言われても……。
『そんなことを俺たちに言われても』、何だ?言ってみろ。
パワハラ会議…。
うさぎさん、鬼滅は知ってるんだね。
『刀剣乱舞-花丸-』っていうほのぼのアニメもあるからぜひ見てみてね。
昔の便覧と今の便覧
Xの購入報告で、昔の便覧と並べてポストしてくれてる人も多かったですよね。

昔のも趣があっていいですね~。
みんな、どれがお気に入りとかある?
我々3人が入社した頃に出ていた黒表紙のが、個人的にはいちばん好きですね。
オシャレだよね、この表紙。エンボス加工されたザラザラ感のある紙質も味わい深い。
僕は初期のものが好きだな~。
まだ書名に「新」の文字が入っていない頃のだね。
現代文編に載ってる作家の肖像が、写真でなくてイラストなのがおもしろんですよ。
宮沢賢治の服ってこんなデニム地っぽいのだっけか?

新訂の方も持ってきた?
はい、歴史はコッチのほうが古いんですよ。

年季はいってるなあ。
中はどんな感じ?

文字多ッ!そして小さいッ!

比較すると、今の便覧はかなり図版が多いですね。

読みやすくなってる。
それでも昔の便覧にも、写真やイラストを多用するページをカラーにしたりして、読者の興味・関心をかき立てようとする工夫が見られますね。
ここぞという時のカラーか。
今は今で、動画や関連サイトに飛べる二次元コードを紙面上に置いたりして、より楽しめる1冊にしています。
どの時代の便覧にも編集者の創意が詰まっていますね。
僕らは偉大な先輩の蓄積の上に立っている…。
今後どのように進化していくか楽しみです。
後編へ続く
エンジンかかってきましたか?
なかなか普段の仕事ではない感じのコンテンツなので、ちょっと暖まるまで時間がかかってるかも。
僕は今日の座談会にあたって、3年前を振り返りました。
前回語った野望への熱はまだある?
はい!馬琴の『傾城水滸伝』について何か作りたい!
相変わらずのパッションですね~。
うさぎさんは、結構尖った独自コンテンツ出したよね。
自分で言うのもなんですが、けっこうな力作なので、もっと多くの人に読んでほしいんですよね…。
わかる。PDF作るのかなり大変だった。
さて、後編はオンラインショップでの、国語便覧の販売開始の裏側について、お話できればと思っています。
Xのトレンド入り、多数のメディア掲載、学参ドットコムへの販売委託の経緯などについてまとめる予定です。
そのほか、便覧に関連した、新しい企画もあるといいですね?
ワクワクですね。
ドキドキですね。
ウキウキですね。
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