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【英語科編集マン特選】Punhub Selection #2

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Punは"だじゃれ"や"ごろ合わせ"って意味だよ。

 

 

はじめに

 

この連載では,英語の使い方による誤解がジョーク的におもしろおかしく投稿されているPunHubというTwitterアカウントから英語の編集者に響いた投稿を解説付きで紹介していきます。英語の面白さ,言語の楽しさをゆるく楽しく親しんでもらおうと企画したものです。

 

第一弾はこちら。

columnlab.net

 

気楽に読んでみましょう!

 

 

 

多義語を使ったジョーク

次の投稿を見てみてください。

看護師 “Sorry about leaving you waiting.”
患者 “No problem, I’m patient.”

このジョークの意味を考えてみましょう。ヒントはpatientの意味です

看護師の発言は,「あなたを待たせてしまってごめんなさいね。」という意味です。

ではそれに対して患者さんは何と答えているでしょう。

patientは,「患者」という名詞の意味と,「忍耐強い」という形容詞の意味がありますね。

つまり患者さんの発言は,「大丈夫よ,私は患者だから。」という意味と,「大丈夫よ,私は忍耐強いから。」という二つの意味で解釈できますね。

申し訳なさそうにしている相手に対して,こういうジョークで返せたらおもしろいですね。

 

文脈を無視するジョーク

例えばあなたが家に遅く帰ったときに,ご家族が,「今何時だと思ってるの!」と怒っているとしましょう。(本メッセージは高校生に向けています。)

あなたは何と答えますか?

当然,「ごめんなさい!」が適切な答えです。それ以外の言い訳などを一言目に持ってくるのはやめましょう。

人は言葉でコミュニケーションをとりながら,常にそのときの状況や文脈を考慮しています。このことを研究する学問領域を「語用論」(Pragmatics)と呼びます。

人はそういった文脈による予想を常にしており,それを急に裏切られたときに笑いにつながるそうです。以下の記事にはこうあります。

そもそも人はなぜ笑うのか。
「予想を裏切られるから」である。予想=フリ、裏切り=オチという。フリは、いわば「常識」である。観客に常識を想起させておいて、それをすぱっと裏切るのだ。

人気を独り占め! 春の宴会「人を笑わせる」練習 (2ページ目) | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

 

さて,以下のジョークを見てみてください。

患者:“Doctor, my back hurts when I wake up in the morning.”
医者:“Wake up in the afternoon then.”

 

患者さんは「朝起きると背中が痛い」ということを医者に伝えています。

病院での医者と患者のコミュニケーションであることを考えると,これは「朝起きたときに背中が痛くなくなるように治してほしい」という要望です。

しかし医者は,「では午後に起きなさい」と答えています。

文脈を無視した返答がおもしろいジョークです。

これは日本語にしてもそのまま使えるジョークですが,次に紹介する2つのジョークは,英語ならではのものです。

 

 

この場面では,

女性:“Call me an ambulance.”

と言っています。こうなると男性がすることはひとつですよね。しかし,

男性:“You’re an ambulance.”

と言っています。どうしてでしょうか。

文型の観点から考えてみてください。

男性は女性の発言を,
Call  me  an ambulance.「私に救急車を呼んで」
V     O1     O2
ではなく
Call  me  an ambulance.「私を救急車と呼んで」
V     O     C

と解釈してしまっています。

文脈を考えれば当然第4文型(SVOO)の意味でとらえなければならないところ,なぜか第5文型(SVOC)の意味でとらえています。

(そもそも自分のことを救急車と呼んでほしい人がいるはずがないというのもポイントでしょうか。)

 

 

もうひとつ以下のジョークを見てみてください。

店員:“Do you want to hear today’s special sir?”
男性:“Yes.”
店員:“No problem.  Today is special sir.”

“today’s special”とは,「本日のおすすめ料理」としてレストランでよく用いられる表現です。

店員は「本日のおすすめを聞きたいですか?」とお客さんにたずねており,お客さんは「はい」と答えています。

文脈的には,店員は「本日のおすすめ料理」がどんな料理か説明することを期待されています。

しかし,“Today is special sir.”「今日は特別な日です。」と,まったく的を射ない返答をしています。

どうしてでしょうか。

today’s specialの意味を文脈に縛られずに考えてみるとヒントになるかもしれません。

答えは,店員の言った”today’s special”は,”today is special”の省略だったのです。

だから“Do you want to hear today’s special sir?”=「”今日は特別な日”って,聞きたい?」に“Yes”と答えたら,

ただ“today is special”と復唱されただけというジョークです。

 

 

さいごに

いかがでしたでしょうか。

単純なジョークですが,英語の知識がないと意味がわからないと思いますので,ジョークを楽しみながらクイズ的な要素もあったのではないでしょうか。

次回もお楽しみに!

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