はじめに
この連載では,広い学びへ興味をもつきっかけを作る目的で,第一学習社の編集者が見かけた興味深い論文や研究を不定期に紹介していきます。
論文というのは,学びの最先端がまとめられたとても面白いものです。しかし,大学の研究以外では,日常的に触れることは多くありません。また,内容も難解なものが多いです。しかしそのハードルを越えれば,自分の目で見る世界の解像度が,少し明瞭になっているはずです。
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きっかけは筆者が自宅のエレベーターの『今日は何の日?』で本日11月8日がレントゲンの日だったので,ちいさく特集してみようということでした。
今回の文献はこちら
放射能発見における写真の役割 (上) : レントゲン線とベクレル線
上記リンクは,Wikipediaの参考文献経由で見つけたもので,中京大学の学術情報リポジトリから配信されている論文です。
Wikipediaの記述になっている土台はここから執筆されており,こちらのリンクのほうがより詳細に,伝記的に描写されており,とても面白いです。
内容についても,物理学はもちろん,高校物理に明るくなくても,レントゲン博士がX線を発見するまでの経緯が描かれています。
ポイント補足
ヴィルヘルム・レントゲン
彼の研究業績やX線発見に至るまでの試行錯誤はリンクから読んでもらうとして,X線発見以外にも抑えておきたい偉業としては,彼はノーベル物理学賞の第1回目の受賞者なのです。
まさにX線の発見は,今日の素粒子物理学へ至る発展の基礎という意味では,1回目にふさわしい受賞内容だったと言えるでしょう。
↓2021年の解説のほうがホットトピックですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?論文というよりも,伝記的に読めるものだったので物理学に素養が無くてもレントゲン博士の功績を追えたのではないでしょうか。
ちなみにこのリンクは(上)なので(下)もあるのです。
放射能発見における写真の役割 (下) : レントゲン線とベクレル線
後半ではタイトル通り,ベクレル線・・・つまり放射線についてもう少し深く解説されていきます。興味のある方はこちらも読んでみてはいかがでしょうか。
最後のおまけに,この論文をみていて思わず笑ってしまった部分を抜粋して〆ようと思います。
「生身の人間」の骨が透けて見えると言うのであるから,一大センセーションを巻き起こし「卑猥な」マンガのネタになるのは避けられなかった。
「X線防護下着」が売り出され,アメリカでは「劇場でのX線オペラグラスの使用禁止」市条例(トレントン市1896年2月9日)まで発令される騒ぎとなった。
真っ先にオペラグラスに応用するってどうなのよ,人類。