はじめに
この「実食!世界の料理」のコーナーでは,教科書や資料集に載っている世界各地の料理を,コラムラボのメンバーが実際に食べながら(ときに作りながら),食文化から探究的な学びを模索していこうという,企画担当の趣味と食欲丸出しの企画となっております。
地理や家庭科の資料集に掲載されている,世界のさまざまな料理,「どんな味がするのだろう?」と思いを馳せたことがあるのではないでしょうか。
コロナ禍で海外旅行に行けないからこそ,現地の料理をおうちで楽しみながら,学びを得ていきましょう!
大豆ミートってなに?
第3回となる本日は,最近よく耳にする大豆ミート食品を実食します。
大豆ミートは,お肉に代わるヘルシーな食品として販売され,環境にもやさしい食品として近年注目されています。
たとえば,お味噌で有名なマルコメさんや
ボンカレーで有名な大塚食品さんなど
多くの企業が大豆ミート製品を開発し,専用サイトを作るなど精力的に販売しています。
お弁当用の大豆ミート製品は,スーパーでもよく目にしますね。
本日私たちがいただくのは…
本日は,バーガーキングさんの『プラントベースワッパー』と,通常の牛肉パテのワッパーと食べ比べたいと思います。
バーガーキングさんのほかには,ロッテリアさんやモスバーガーさんも,大豆ミートのハンバーガーを販売していますね。
すべてを食べ比べていると,おなかいっぱい大満足になっちゃって動けなくなるので,今回はハンバーガーチェーンを代表して,バーガーキングさんの商品を実食します。
Step1 お取り寄せ
調理なしか…さっそく当初のコンセプトからずれてきている気が…
ウガリづくりに苦戦する我々ですよ。大豆ミートなんて無理難題!
(なぜ誇らしげなのか…)
↓苦戦したウガリ作りの記事はこちら↓
某料理宅配代行サービスでちゃちゃっと取り寄せましょうかね。
わたし,実はその某料理宅配代行サービスを使うのは初めて!
意外と簡単!毎日家族の料理つくるの面倒だし…土日はこれでいいかも…
~30分後~
到着!思ったよりデカいバーガーが届いたぞ。
いっただっきまーす!!
ちょいとお待ち!
はにゃ?
まずは物撮りでしょーが。
本来の目的を忘れないでね。
Step2 物撮り
パッと見じゃ全然見分けがつかないわね。
意外にも大豆ミートの方が色が濃いですね。
やっぱりお肉感を出すために,調味料や着色料で工夫しているのかねぇ。
僕みたいに単純な人間は騙されますよ。
断面はどうなのかしら。カットしちゃいましょう。
こりゃ分からんぞ・・・!
科学の力ってすげー!
みなさんはどちらが大豆ミートか分かりますか…?
正解はこちら
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左側(断面A)が大豆ミートのハンバーガーです!!
パッと見た目では判別できないくらいに進化しているんですね。
これには執筆チーム全員が驚きました。
Step3 実食
それではいただきましょうか。
おなかペコペコで泣きそう…
まずは大豆ミートのハンバーガーから。
いただきます!
……
……?
うまい!
お肉と言われても納得しちゃう!
科学の力ってすげー!
思ったよりも食べごたえがありますね。
ですね!食感はお肉と変わらんぞ…。
味付けも違和感ない。これ本当に大豆!?
疑っちゃいますよね。実はジョークだったり…
うわ…。マジじゃん。すげーなこりゃ。
僕みたいにムシャ 舌の肥えた人間でもムシャ だませますよこれはムシャ
(ずっと食べてるなこの人…)
Step4 牛肉のハンバーガーと食べ比べ
本物のお肉のバーガーと食べ比べましょうか。
いただきます!
……
なるほど。美味しい。期待を裏切らない旨さ。
お肉の方がジューシー?やっぱり食べ比べると違いが分かりますね。
ごろっと感…?があるというか。
でも,どちらかだけ出されたら違いは分からないですよ。こうやって食べ比べをしない限り…。
お肉大好き好き人間の僕のポリシーが揺らいでしまう…。別に大豆ミートでも構わん…
意外と大豆ミートの方が好きだったりするかも…。
探究的な視点
ところでなぜ最近大豆ミートが注目されているかご存じですか?
といっても,冒頭に書いてしまったのですが,
①ヘルシーである
②環境にやさしい
が大きなメリットとされています。
①ヘルシーである についてはすぐに理解できるでしょう。
ですが,②環境にやさしい とはどういうことなのでしょう。
なぜ,お肉よりも大豆の方が環境にやさしいのでしょうか?
深掘りしていきましょう。
環境問題との関連とは……
畜産物を生産するためには,餌となる飼料が必要になります。
飼料には牧草のほかに,トウモロコシなどの穀物が多く利用されています。
では,牛肉を1kg生産するために,どれだけの飼料が必要になるのでしょうか。
↓
↓
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トウモロコシに換算すると,実は11kgも必要になるのです。
畜産物を生産するためには,牧草地やトウモロコシ畑も必要なのですね。
そしてこの牧草地やトウモロコシ畑を開墾するために,過剰な森林伐採が行われています。
アムネスティ・インターナショナルの報告によると,ブラジルのアマゾンで森林伐採された地域の63%が,牛の牧草地に変わり,なんとそれは,日本の国土の1.3倍の面積だといいます。
食肉生産と環境問題は深い結びつきがあるのです。
環境問題のほかにも…
穀物の市場価格の変動には,自然災害や異常気象による不作以外にも理由があります。
インドや中国などの新興国で,肉の需要が増えたことによる穀物飼料の需要増。
バイオエタノールとしてのトウモロコシやサトウキビの需要増などがあります。
これらの要因によって,穀物の市場価格は上昇し, 貧困や食料不足で苦しむ発展途上国が,穀物を購入しづらい状況が発生しやすくなっています。
食料輸入は食料生産に費やした水を輸入するに等しいという考え方に基づき,輸入量を水の量であらわしたものをバーチャルウォーター(仮想水)といいます。
牛丼1杯を作るために牛肉100gを輸入することは,2,070リットルの水を輸入しているのと同じになります。 環境省では仮想水計算機を公開しています。
普段の食事を見直すきっかけになりそうです。
私たちが食べ放題の焼き肉店に行くときに,これらの背景があることを想像もしないと思います。
まずは,このような背景があり,さまざまな地球的課題につながっているのだと深く知ることが大切ですね。
次回もお楽しみに!